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1 雇用契約書を交わす意味
労働者を勤務させる場合は、「その身体が活動できればいい」とのみ考えがちですが、雇用契約上の多くの労務リスクが、この雇用契約の入口に集中します。
労働者と使用者はいくつかの何らかの約束を交わして、互いに合意のうえでスタートするわけです。労働者を使うことは契約ですので、契約思考にたって眺めていく必要があります。
通常、現金商売の八百屋や豆腐屋、薬局などでもなければ、社会全般に言えますが、まず、契約書が存在します。雇用契約もそれ以外の契約も共通なのですが、口頭の意思表示のみで契約が成立します。その点では「なんだ、じゃ、契約書なんかいらないじゃないか」とも言えそうです。
しかし、言った言わないと食い違いが生じる基になるうえに、使用者も、いかなる内容をどのように契約したかについて、示すことができない、あるいは、証明できないことになります。このことが労働問題をよりエスカレートしています。
労働者は問題になった際にこう言います。
「うちの会社、契約書も何もないの(なかったの)」あるいは、「なにももらってない(渡されてない)」
契約書がやっかいななのは、問題になってから交付しても企業にとってプラスに働かない点です。
つまり、雇用契約書を交わすことは、契約したことの証、契約内容の証明として揺るぎないものとなります。たとえ契約と矛盾することを労働者が言ってきても「契約内容は○○となっている」と言えることが労務対策として強いものになります。ただし、契約書がないことを理由に、契約は成立していないとは言えないのです。
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2 雇用契約書だけでは労務対策は不十分
労務対策として、雇用契約書を交わす以外に重大な要素が2つあります。
一つは、雇用契約書の内容は就業規則の内容と違わない内容になっていることです。
雇用契約書の内容は、就業規則の取り決めを確認して、その通りに契約書に落とし込む必要があります。契約内容のことで労使間で揉める場合、雇用契約の内容が就業規則の内容と合っていない場合が散見されますので留意が必要です。
もう一つは、雇用契約内容を説明することです。
使用者の説明義務や労働者に対する理解促進の責務は、法的な要請内容でもあるのです(労働契約法)。もっとも、この点を労働基準監督署に問うても明確な返答はありません。労働契約法の話は労働基準監督署の業務に関係ないからです。よって、労働基準監督署が何も言わないから別にいいというわけではないことに注意してください。
契約内容に関して労使間で揉めた場合、労働者のサインや押印があるから食い違いがなくなるわけではありません。雇用契約書はせいぜいA4で1~2枚分程度ですから、労務対策の点では、念を入れて、説明義務を果たしておいたほうがいいでしょう。もっともよくないのは、何の説明もなしに、雇用契約書を差出し、「サインして」、「そこに印鑑押して」というパターンです。留意する必要があります。
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3 労働条件の書面明示は必須
最初に雇用契約書の意味について触れましたが、雇用契約書や労働条件明示書、雇入通知書等の名称に関係なく、労働基準法は労働条件を書面で明示せよと規制しています。
雇入れの労働条件、変更時の労働条件、雇止めの条件など書面で通知することがルールになっているのです。書面の名称はさほど重要ではありません。ただし、雇用契約書の位置づけは、契約が存在する証として非常に明確な姿勢を示すものになることは間違いありません。
ちなみに、書面で明示しなければならない労働条件の詳細は、労働基準法で決まっていますが、ざっくり言いますと、労働時間、賃金、休み、休憩、時間外労働、退職や雇止め、解雇に関する事項などが基本的なものになります。
書面による労働条件の明示は、従業員9人以下の企業で就業規則の整備がなされていない企業でも同様に適用されます。就業規則の有無にかかわらず、先の労働条件は、従業員を雇用する企業において何も決まっていないことはありえないからです。
そうは言いましても、一般的なお話ですが、この労働条件を記載した書面による明示がルーズになっている企業が多いように思えます。何か問題が発生したら作って渡せばいい式の企業もありますが、何か問題が発生した場合に問題になるのは、従業員からの「入社のときや労働条件が変更になった際に、労働条件は紙でいただいてません」との申し出なのです。
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