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テレワークを開始する際は、テレワーク特有の社内の取り決めについて、就業規則や賃金規程などに規定する必要があります。
ウイルス感染拡大、台風、大雪、洪水などの急な災害発生の場合には、規定することなくテレワークを開始している可能性がありますが、後で遅れてもいいので必ず規定をしておきましょう。
出勤するスタイルの時には想定しなかった諸問題が発生する要素が多くありますので、テレワークに関する内容をテレワークであることを特定してきちんと規定することをお勧めします。
以下で、主に必要になる規定項目について概説させていただきます。御社独自の内容は個別にヒアリングのうえで確認と合意のうえでということになります。
1 労働時間に関する規定
➀所定労働時間を超えて、あるいは、休日労働をさせるか否か
もし、所定労働時間を超えて、あるいは、休日労働をさせる可能性がゼロでないのであれば、その旨を規定しておくべきでしょう。
※従来の36協定届の内容の追加・変更が必要
在宅勤務などテレワーク時の時間外労働や休日労働についての日数・時間などを36協定届に記載し、労働基準監督署へ提出する必要があります。
②妊娠中や産後1年以下の女性で就労希望者の時間外労働などをどうするか
リスクを考えて就労させないのであれば、その旨をきちんと規定しておきましょう。
③災害などの避けることができない事由による制限を超えての労働をさせるか否か
もし、災害時などの緊急事態を想定して、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせる可能性が少しでもある場合には、「させることがある」旨を規定しておくべきでしょう。
これらは、通常、就業規則にすでに規定しているものばかりですが、ポイントは、これらを在宅勤務などのテレワークに関しても当てはめるのかを検討の上、きちんと規定しておくことにあります。
2 休憩・休日に関する規定
➀休憩時間をどのように定めるか
始業時刻と終業時刻の間に休憩時間を取らせることが原則です。
基本的なことになりますが、あらためて、
1日の所定労働時間が6時間までは休憩はゼロでも違法にはなりません。所定労働時間が6時間を超え8時間までは少なくとも45分の休憩、所定労働時間が8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩時間を与えなければならないというのが法律ルールです。
法律との対比では、これを満たしていれば違法になりませんが、現実は、在宅勤務などのテレワークの場合、パソコンに向かっている時間が多くなることを想定しますと、休憩時間の与え方を工夫する必要があるかもしれません。
たとえば、
就労時間の途中に15分の休憩を4回、30分の休憩を2回、15分の休憩を6回など、法律の枠にとらわれない工夫があるといいかと思います。
業務内容と就労環境などを考慮して実態に即した休憩の付与を検討することをお勧めします。
②休日をどう決めるか
出勤しているときは、土日の週休2日であったので、テレワークでも同じでいい場合には、そのように規定することでいいかと思います。
しかし、週休2日の対象曜日を変更する場合など、出勤時の体制をテレワークによって変える場合には、休日をあらかじめ決めて規定にしておく必要があります。
③出勤日を決めるか
1週間の中で、あるいは、月の中で出勤させる日がある場合には、その旨と出勤日数、曜日などについて規定しておく必要があります。
出勤日を設ける場合で、あらかじめ設定しておけないなどの事情がある場合には、前日までに通知するなどの取り決めについても規定しておく必要があります。
3 在宅勤務などテレワークの許可
➀テレワークの対象者をどうするか
たとえば、
・在宅勤務などテレワークを希望する者
・就労環境、家族の理解、セキュリティ環境などを検討して適切と認められる者
などにする場合などがあります。
ポイントは、正社員は認めるがパートタイマー、有期契約労働者などは認めない、または、その逆バージョンなど正当な根拠を説明しにくいる労働条件等の差が生じることは避けることです。
②テレワークの申請・承諾の手続きをどうするか
許可申請の様式などの整備、申請期限、申請方法などを決めたうえで、就業規則に規定する必要があります。
※会社が取り消す場合が想定される場合には、その旨を規定することも重要です。
4 在宅勤務などテレワークの服務規律
テレワークは、会社が目の届かない離れた場所での就労になりますので、テレワーク独自の服務規律を細かく規定しておく必要があります。そして、テレワーク対象者には、テレワークに入る前に念入りに説明しておく必要があります。
服務規律として必要となる基本的ものは、たとえば、
✅情報の取り扱い
持ち出し禁止、あるいは、許可のうえ持ち出し資料の扱い、資料の第三者の閲覧・複写禁止などが重要になります。
✅職務専念
テレワークの中でも在宅勤務では公私の区別が困難になりにくくなる環境にありますので、契約上の労働時間は、職務に専念することを遵守するようにする必要があります。
✅セキュリティ遵守
あらかじめセキュリティガイドラインが準備できるところは、セキュリティガイドラインにしたがって、作業、データの取り扱い、保管・管理・削除などをすることを少なくとも重要事項として必要になります。
セキュリティガイドラインのないところでも、それらを踏まえたうえで服務規律にしておく必要はあります。
✅自宅以外での業務遂行禁止
情報漏洩、第三者の目に触れる、情報や青果物の紛失などが想定されますので、カフェなど第三者が存在する場所での業務遂行を禁止することが必要になります。
などになるかと思います。
5 在宅勤務などテレワークでの勤務体制
➀報告をどうするか
業務の開始・終了の報告を通信で行うことになる場合には、いくつかの方法を選択肢として用意し、報告を義務付けることを規定する必要があります。
また、成果物や業務遂行状況などの報告を義務付ける場合には、報告のタイミング、報告様式、報告先などを取り決めておき、就業規則に規定しておく必要があります。
②連絡体制をどうするか
事故や何らかのトラブルなど、誰にどのような方法で報告するようにするか、報告先である上長が連絡とれない場合はどうするかなど細かく規定にしておく必要があります。
また、情報通通信機器に不具合などが生じた場合には、どう対応したらいいかについても、就業規則に規定しておく必要があります。
6 在宅勤務などテレワークの教育訓練
教育訓練に関する規定は、会社の独自色が強くなるかと思います。主に以下の点になります。
㋐教育訓練制度を整備するのか
㋑教育訓練制度を整備した場合、教育訓練の受講者対象者をどう規定するか
㋒個別の教育訓練を実施するか
などです。
内容を検討して取り決めたうえで、しっかり規定しましょう。
7 在宅勤務などテレワークの給与等
在宅勤務などテレワークに従事する従業員の給与も後々問題が浮上しやすいテーマです。
基本給は変わらない場合が多いかと思いますが、諸手当に関しましては、出勤時の手当支給体系を再検討する必要があります。
たとえば、
㋐通勤手当の支給をどうするか
週1日の出勤、あるいは、月に2回の出勤であとは在宅勤務となる場合などは典型です。
㋑特別な手当をつけるか
名は体を表すに越したことはありませんが、項目名は別としまして、在宅勤務の場合には、自宅といってもそこが就労場所になります。光熱費、文具費用(事務用品費・消耗品費)、通信費用、郵送費などはどのように負担すべきか。
在宅勤務に従事する従業員も、当初は頭を過らないことが多いのですが、後々在宅勤務を開始するとまとめて問題となってきます。コストがかかる話ですので、従業員が納得していないからです。
労使で話し合い、内容を決めて就業規則に規定する必要があります。
他にも詳細は多々あります。企業独自の取り決めが必要になる点もあるかと思います。また、就業規則本則の修正・追加でカバーするのか、別規程にするのかも重要な点です。
テレワークの就業規則・賃金規程に関しては、亜流我流でやってしまうのはリスクがありすぎます。迷う場合はぜひ一度ご相談ください。
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