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首都圏中央社労士事務所

 

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テレワークの労務問題と対応方法

1 テレワークにおけるハラスメント問題

こんな時間までメール?

テレワークにおけるハラスメント、考えられるのはパワー・ハラスメント(パワハラ)です。当事者となった経験がない場合は、イメージしにくいかと思います。

 

たとえば、

㋐ビジネスチャットを必要以上に送り、その都度タイムリーな返事を要求したことで、在宅勤務の社員が業務に専念できない状況になった。

 

㋑在宅勤務の社員が18時で勤務時間終了しているが、連日、時間外の報告や業務処理を命じるなど押し付ける状況になった。

 

㋒在宅勤務の社員に対し、夜、急に仕事で伝えることを思いだしたので、急ぎ伝えるほどの内容ではないにもかかわらず、23時ごろ、スマートフォンのメールに送信する行為をしばしば行った。

 

㋓在宅勤務の社員が、スマートフォンに連絡してもすぐに出ないため、「上司からの連絡は常に出るようにしなければならないと強く命じた。

 

ごく一部ではありますが、このようなシーンが想定されます。もちろん、これらは程度問題や業務上の必要性の要素も絡みますので、一件一件の実態により異なってくるかと思います。ハラスメントに当たる場合と当たらない場合にわかれるかと思います。

 

しかし、ハラスメント問題の幹は、その行為がハラスメント行為にあたるか否かということよりも、労働者からはハラスメントと強く主張されることにあります。感情も大きく混在しますので非常にやっかいです。

 

また、ハラスメント問題が大きな問題になりやすい要素は、主張されたその行為がハラスメントに当たるか否かよりも、会社が社内でハラスメント問題が生じないようにどのように事前措置、つまり日頃から防御策を行っていたか、生じた後の事後対応、つまりどのように対応したかになります。

 

対応策

事が起きる前は、事前防止策を講じることにつきます。

トップメッセージの方針、幹部社員研修、社内リーフレットの作成、ハラスメント事項の周知徹底、就業規則の規定化など細かく実施する必要があります。

 

事が起きた後は、迅速に事実を明らかにするための調査を行い、適切に対処することが求められます。

 

 

2 テレワークうつ(精神疾患)

最低限の必要範囲で

会社からすれば、

「テレワークでうつなんて、ふざけるな!」

こう言いたいかもしれません。でも、けっこうあるんです。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、突然テレワーク体制になったことで、初めて尽くしになったこともあります。でも、それだけではありません。

 

「テレワークは、顔を合わせなくても、出勤しなくても仕事ができる、こりゃいいや」と会社も従業員も解しています。しかし、その便利さ以上に弊害のほうが大きいとされています。ざっと、従業員からの声になっているところをあげてみます。思い当たる点はないでしょうか。

 

➀デジタル上の活字は読めばわかるが、実際の意思や気持ちなどはつかみにくい。活字に現れていない細かいやりとりや確認作業が必要だが、離れているとそれは難しい。それがストレスになる。また、その状況から、伝えたことが違う意味で解釈されて意思や意味の食い違いなどが起きて余計手間がかかっている。

 

②会社に行っているときは、オフィスであいさつをし、言葉を交わし、雑談もしとコミュニケーションがあったが、それが一切なく、紋々としている。

 

③業務時間内とはいえ、チャットで四六時中確認通知がとどき、返事をしないといけない。非常にストレスになっている。

 

④テレ(離れて)いることで、出勤しているときの数倍、管理が細かくなっていて仕事がしにくくなった。

 

⑤夜遅くに、明日の業務予定などが送られてきて、家にいても気が休まらない。

 

⑥今まで以上に携帯電話のやりとりが命令されて窮屈だ。

 

⑦自宅環境は、仕事用の環境に作られているわけではないので、仕事に集中しにくい。でも、カフェで仕事をやることは漏洩などから禁止されている。なんかやりにくい。

 

どうでしょうか。ざっとあげてみましたが、こんな問題が多数埋もれています。従業員はその都度声をあげるわけではないかもしれませんし、そもそも言いにくいこともあります。

 

ハラスメント行為も含めてですが、日々の細かいストレスは積み重なることで、大きな脱出困難なものになってしまいます。

 

雇用契約上、使用者には、職場の労働環境を良好になるように維持調整し、健康を害さないように就労させる義務があります。

 

一件、「自宅の環境なんて」と思うかもしれませんが、テレワークの場合、就労の場所になります。また、在宅勤務の労働問題で安全配慮義務をテーマとした裁判例は、現時点でほとんどないかと思いますので断定はできませんが、通信のやりとりも労働環境に影響を与えるとみれば、職場の安全配慮義務などの要素にはなり得る可能性があると考えられます。

 

対応策

リスクになる前提で防御策を講じておくことが大切かと思います。

 

従業員の就労実態を週に1回の出勤時にヒアリングのうえ把握し、精神的負担に結び付く要素を極力さけるように整えておくことが、在宅勤務における関係では一つの対策になると考えられます。

3 気持ち・意思の突合困難

今一つわかりにくいかなあ

テレワークは、出勤しないことから、通勤時間が有効に活用できるとして、はじめはいいムードなのですが、徐々に、直接会っている場合と違って、すぐに相手の意図するところがわからない、あるいは、分かりにくいなどの問題に突き当たります。

 

また、書類の不明点があった場合でも、その確認作業は、目の前に相手がいる場合と違って、時間がかかったり、確認したい内容の受け取り方が相違したりとスムーズにいかないケースが出てきます。

 

テレワークの定番ツールとして、zoom teamなどがあり、複数名の者が離れた場所から会議に参加し、やりとりできることで普及し活用されています。

 

とても便利で、ビジネスの世界では盛んに活用されています。セミナーなどの配信でも活用されています。

 

ミーティングのシーンを例にみますと、オンライン・ミーティングはいいことばかりではないようです。誰から発言させるか、「発言して」と言っても発言しにくいため発言が少ない、他の参加者に気を使って発言が遠慮がちで本音の意見や考え方が聞けないなどもあるようです。

 

また、ZOOM、TEAMの便利さから、オンライン会議が増えると、会議が多く、通常業務が二の次になりがちとなってしまうおそれもあります。

 

人と会わずに遂行しようとの思考・意識のみが先行しますとコミュニケーションの不足・不適切などの状況になっている場合も散見されます。

 

対応策

ZOOM、TEAMが便利ではあっても、あくまでも肉声の声尾を確認することで、意思や気持ち、状況を読み取ることが重要です。ZOOMやTEAMに必要以上に傾注しないようにすることが逆に重要かもしれません。

 

ZOOM、TEAMなどのオンラインの仕組みは、最低限の必要な範囲に留める工夫をする。会議の回数、時間を必要な範囲の中で設定する。

 

 

便利さのみを思考して、多用するようになりますと、気づかないうちに、いつの間にか、このような問題が埋もれているなんてことにもなりかねませんので、時々、客観的な見方でみておきましょう。

4 公私の区別が困難

公私の区別を意識したルールを

これは在宅勤務の問題に顕著で、誰しも感じていることかもしれません。

 

職場が自宅になることで、仕事とプライベートの区別、いわゆる公私の別がなくなりがちになります。頭ではわかっていても、そこにプライベートな環境や物などが存在している以上、口に言うほど簡単にはいかないのも事実です。

 

いったいどこまでが仕事でどこまでがプライベートなのか。質問される会社の方としましても回答に苦慮するかもしれません。

 

対応策

業務開始時刻と終了時刻、他に、休憩開始時刻・終了時刻などを通知させ、業務に集中する時間を明確にしておく。

 

トイレやコーヒーを注ぐ、たばこを吸うなどはOKとしても、長く時間をとることはないようにテレワーク関連教育の内容を定め、しっかり教育するなどする。

 

上はYシャツ、下はパジャマなど業務に不適切な服装を事前に注意・警告、指導しておく。

 

過度な監視などと誤解を受けない範囲で、ルール、範囲などを取り決めて、しっかりインフォメーションしてからテレワークに入る。

 

 

新型コロナウイルス感染症の拡大にともなうテレワークは急を要したために、教育やインフォメーションはできずじまいで突入しているところも多いかと思います。しかし、これからは、テレワークを継続するにしても、一度、仕切り直して、体制を整えて再スタートするのも一案です。

5 待遇等の不利益

正規・非正規の待遇差に注意を

テレワークの勤務体制は、社員に平等に扱わないことで思わぬ問題となってしまいます。

 

たとえば、

正社員は、テレワークの必要がないので、通勤してオフィスで勤務するようにしているが、パートタイマー、有期契約労働者は、週1日の出勤であとはテレワーク勤務とした。また、この逆もあるでしょう。

 

要するに、一般労働者と非正規労働者勤務体制や待遇に差があるケースです。もちろん、勤務体制や待遇に差があるからとそれ自体が違法であるとは限りません。問題なるのは、3点です。

 

1点目は、勤務体制や待遇に差がある理由が、「パートタイマーや有期契約労働者だから」というものです。これが理由である場合には、勤務体制や待遇に差があることが違法になる可能性も出てきます。

 

2点目は、勤務体制や待遇に差があるとして、差の程度が問題になる可能性が出てきます。差がある状況に相応した差であるか否かは検討する要素になり得るところです。

 

3点目は、一般労働者と非正規労働者の双方にテレワークを行っているが、正社員にはテレワーク手当を3万円支給しているが、非正規労働者には1万円の支給をしている。あるいは、正社員にテレワーク手当を2万円支給、非正規労働者には支給しない。このような支給の仕方が問題になる可能性があり得ます。

 

多くのケースでは、問題化して問われますと、理由付けをするのですが、その実は、パートタイマーや有期契約労働者であることが理由のもとになっているケースが散見されます。

 

対応策

 

違法性が問われることにもなりかねませんので、どこから求められても、理解可能な説明ができる理由が必要です。テレワーク制度とその処遇について導入する際は、なぜそうするかという理由を検討し、理由付けができることを確認のうえでスタートする必要があります。

6 在宅勤務でいいと出勤に応じない

出勤命令の遵守を促しましょう

テレワーク、とりわけ、在宅勤務でないといけない状況が解消された場合です。

 

たとえば、

新型コロナウイルス感染症が落ち着き通勤して業務が遂行できるので、会社が出勤命令を出したが、「テレワークで自宅で支障なく業務ができるのに、どうして出勤しなければならないのか」などと言って、出勤に応じようとしない。

といった場合です。

 

状況を十分に検討した結果、健康を害するリスクがない場合には、出勤を命令として発することは十分考えられますので、会社としては当然です。

 

その場合には、従業員は命令に従う義務があると言えます。雇用契約は、賃金や労働時間だけではなく、働く場所も契約事項の一つです。

 

労働者は、特段の事情や政党な理由などがないのであれば、会社が命じる就労場所で就労しなければなりません。

 

対応策

法的に契約に反する行為になる旨をきちんと説明し、注意・指導を重ねて出勤を理解してもらうようにしましょう。

 

 

出勤命令に従わないからとやりがちなのが解雇です。しかし、いきなりの解雇は違法性が高くなりますので、段階を踏んで労務対応することが肝要です。

可能なら顔を突き合わせて、顔を見て会話する・・・・これにつきます。

離れていることのデメリットであるコミュニケーションは、どんなに便利な通信機能やシステムを駆使しても、解決しきれるものではないと言えそうです。

 

実際に、新型コロナウイルス感染症で自粛期間中はテレワーク体制をとっていたものの、出勤体制に戻した、復活した企業は少なくありません。やはり、テレワークよりもメリットが大きいからだに他なりません。

 

ただ、災害などで通勤すれば従業員のリスクが大きい場合には、一時的にテレワークを活用することは意味があると考えます。ただ、あくまでも原則は、出勤による就労を中心に置くべきかもしれません。

 

迷い、判断に苦慮するなどございましたら、状況をお聞かせください。実態に即して、何か、助言できることがあるかもしれません。

 

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