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首都圏中央社労士事務所

 

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退職後に守秘義務を課すには

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1 守秘義務の位置づけ

 そもそも従業員には、企業に対し、雇用契約上の債務を履行し(雇用契約上の義務を守る意味と理解してけっこうです)、企業の正当な利益を不当に侵害してはならない義務があります。雇用契約上の誠実義務となります。

この義務は、雇用契約に付随する義務なので、就業規則や雇用契約書などに記載があるか否かに左右されるものではありません。

雇用契約に付随する義務はいくつかありますが、守秘義務はその一つです。

2 守秘義務とは

 守秘義務が何であるかは、解説するまでもありません。日本語の場合、漢字の意味を追うことでおのずと判明できるかと思います。秘密を守る義務であると素直に理解していいかと思います。

※今回は秘密保持義務も後半の事例で一緒に触れたいと思います。

それよりも注意すべきは、「守秘義務」を課すところの「秘密」にあたるのか否かという点です。たとえば、企業は秘密だと主張しても、実態として、外部にも知られている事柄だったりすれば、従業員から「もう秘密でなくなっている」と主張される要素になってしまいます。

ここで、少し補足しておきますと、不正競争防止法上の営業秘密も関係してきますが、ここでは、雇用契約上の秘密保持の趣旨としてお話をさせていただきます。

3 守秘義務違反の事前防止

 守秘義務に反した行為があったか否かは、主に退職後にテーマとなりますが、在職中に可能な限りの防止対策を行うことが肝要です。主なものは以下の4点になります。

➀守秘義務の内容を明らかにして説明しておくこと
②守秘義務を在職中及び退職後も遵守する義務があることを明確に動機付けしておくこと
③➀や②について就業規則などに規定しておくこと
④誓約書を取り交わすこと

労務実務では、この4点をしっかり実施しているケースは少ないように思いますので、リスク対策としてもしっかり行うようにしたいものです。

特に、就業規則の規定や誓約書・念書を交わすことは行っているものの、従業員にとっては、いざ守秘義務を問われると、何が守秘義務にあたるのかがわからないことで疑念になります。

その点からしますと、守秘義務や秘密保持義務について、就業規則に規定があっても、予めきちんと説明して教育しておくことが肝要です。

③や④にばかり意識があり、➀や②があまり実行されていない例が多いように思えます。ここは、意識して実践しましょう。

4 守秘義務に関する事例

 就業規則や誓約書等があるからと守秘義務を無制限に課すことができるわけではありません。働く者にも職業選択の自由があるわけですから、バランスをみることになります。

たとえば、裁判例でも、秘密保持義務違反、競業避止義務違反等を争った事案で、秘密保持について以下のように判断されています。

 「使用者は、労働者に対し、就業規則ないし個別合意等により業務上の秘密の不正利用を禁ずることができるが、このような条項には多かれ少なかれ労働者の自由な行動を制約する側面があり、しかも本来、雇用契約上の拘束を受けないはずである退職後の行動を制約することからすれば、何をもって秘密事項というかについては、本来、就業規則ないし当該個別合意等により明確に定められることが望ましいというべきであるし、かつ、労働者の行為(とりわけ退職後の行為)を不当に制約することのないよう、その秘密事項の内容も、過度に広汎にわたらない合理的なものであることが求められるというべきである」と判断組みを示したうえで、
「・・仕入先に関する情報については、「〔密〕」の印が押されたりして管理されているわけでもなく、当該情報にアクセスすることができる者が限定されているわけでもなく、従業員であれば誰でも閲覧できる状態にあった・・」こと、原告の情報内容に関する主張内容が変転していることなどから、就業規則や秘密保持契約で保護されるべき秘密情報に当たらないとされています。
〔大都商会事件/平24.3.13東京地判 LEXDB25480755〕

また、別な事案では、以下のように判断されています。


「・・使用者の営業秘密が重要なものである場合は、使用者の存続のためにも労働者の退職後であっても、秘密保持義務を存続させることが必要な場合があるといえるが、他方で、労働者の退職後も秘密保持義務を存在させることとすれば、その内容によっては、必然的に、労働者が競業行為を行うことを制限することになるところ、一般に、退職した労働者は、在職中に得た知識・経験等を活用して新たな職に就くことも珍しくないことからすれば、秘密保持義務を存続させることは、労働者の職業選択の自由又は営業の自由を制限することとなる。・・・退職後も秘密保持義務を負わせるには、その営業秘密の内容・重要性、競業制限の必要性や範囲(期間、地域)、労働者の退職前の地位や、代償措置の有無等を総合考慮し、秘密保持義務の内容が、合理的な範囲内にあることが必要であると解される」と判断枠組みを示したうえで、
関係する顧客が会社に利益をもたらしていた顧客とないえない、「営業秘密としての重要性が低いといえること」「勤務していた当時の地位が単なる従業員であり、役職者ではなかったこと」などとして、顧客に関する情報が、「秘密保持義務の対象に含まれるとすれば、労働者の被る不利益が使用者の保護すべき秘密に比して不当に重くなり、合理的な範囲にないと言わざるを得ない」と、会社が秘密保持義務を課した行為が否定されています。
〔播磨殖産事件/平29.3.14大阪地判 LEXDB25545730〕

5 守秘義務や秘密保持義務が認められる限界はどこか

4の例から、

そもそも、企業が秘密だと考えている情報等にアクセスできる従業員が広ければ広いほど、秘密性が否定する方向に動くことになります。また、秘密であることの管理の実態も問われることになります。

加えて、何が秘密なのかについて、一貫した説明をしっかりできないと守秘義務や秘密保持義務を従業員に課すことが弱まっていくと考えられます。

秘密の内容・重要性、在職中の従業員の地位や役職などによっても判断がことなってくると考えられます。

検討するに際しこれらのことに注意し、誓約書や就業規則に盛り込む場合には、4の裁判例の内容などを参考に、作成する必要があります。基本的に、規定にしたり、契約条項にすればいいわけではないことは、知っておきましょう。

少し、込み入った話になりましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございます。

【特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

 

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