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1 解雇問題の基本

 解雇ほど企業が敏感なものはないと言っても過言ではありません。簡単に解雇できないことを多くの企業で学習し認識しているからです。

 

しかし、一方で「解雇」という単語を発しなければ解雇をしていないとして通ると認識しているようです。ここは、解雇問題の大きな労務リスクです。

 

解雇の本質は、想像以上に根深いものがあります。前提としまして、企業には、雇用の維持が課せられています。ここから、「解雇回避の努力」をしなければいけないこととされていると考えざるを得ません。

 

たとえ、解雇する妥当な理由がある場合でも、解雇に慎重な姿勢で向き合わなければならない理由がここにあります。解雇すれば、解雇された従業員は当然、反旗の狼煙を挙げるのが必定だからです。

 

次に、解雇とは何かを知っておく必要があります。企業が「解雇」と発言することのみを解雇と言っていると捉えていますと、足元を救われかねません。解雇とは、「使用者からの一方的な雇用契約を解約する意思表示」を指します。ここでは、この概念をきっちりと受け止めておく必要があります。

 

この意思表示にあたる言動は、「解雇」という言葉を言っていなくても解雇に転ぶ可能性があります。このリスクを押さえてかかる必要があります。

 

次に、基本的なことを説明しておきたいと思います。俗に、「30日分の賃金を払えば解雇できる」「30日前に予告すれば解雇できる」などと言われます。当事務所でも、こうした言葉をよく耳にします。

 

しかし、これは間違った考え方です。30日分の賃金を払ったり、30日前に予告をしたりすれば解雇できるわけではありません。それらは解雇できることの要件ではないのです。解雇が認められるとした場合(解雇権濫用ではない場合)の手続き的な解雇の効力要件を言っているにすぎません。

 

もう、社会に浸透していて周知のことかと思いきやいえいえまだこのように受け止めていて、それが間違いだということに気づかずに、平然と運用されている企業が少なからずあります。

 

裁判例

【アクティ英会話スクール事件・大阪地判平5.9.27労判64655頁】、【関西フエルトファブリック事件・大阪地判平10.3.23労判73639頁】

 

手続き的に無効と言える場合には、労働者からは、解雇の無効の主張か、解雇予告手当の支払いの要求かをされる可能性があります。【セキレイ事件・東京地判平4.1.21労判60591頁】

 

2 解雇が妥当か不当かの判別

 初めに労働基準監督署との関係をお話しておきます。従業員は、解雇されるとほとんどの者が労働基準監督署に相談します。しかし、労働基準監督署は、その解雇が違法か否かは判断することは業務になっていません。一般の民事的判断になりますし、法律でいいますと労働契約法の領域でして、そもそも労働契約法の領域は労働基準監督署の業務ではないのです。

 

従業員が労働基準監督署に相談に行きますと、「解雇通知書が出ていないと解雇と言えるかはわからない」、「解雇と言われたのなら予告期間30日に足りてない分は解雇予告手当を請求できる」などの話になることが多いのも、上記の背景があるからです。

 

解雇の違法性の要素は何か

ざっくり言いますと、解雇は、「解雇してもいい理由があるか」(客観的合理的な理由の存在)「解雇は酷ではないか」(社会通念上の相当性)の2段階でチェックされます。

 

この考え方が確立されたと言われるのが、以下に示します日本食塩製造事件です。

【日本食塩製造事件・最二小判昭50.4.25民集294456頁】

 

合理的理由はあるか、社会通念上の相当性はあるかとうのがそれです。2段階チェックです。2つともクリアできる必要があります。ここが妥当だと評価されないような要素が強いと、解雇権の濫用になるわけです。

 

ほとんどの場合で解雇が問題になりやすいのは、従業員にとってはいきなり生活の糧を失うことになる状況下に置かれるからです。「許さない」となるのでしょう。

 

3 解雇と就業規則の解雇規定の関係

 就業規則の解雇規定は、解雇事由を示すことになります。そこで、やや小難しい話で恐縮ですが、従来より、解雇規定の解雇事由が、解雇理由を例示したものか限定したものかが問われてきました。

 

普通解雇の裁判例では、限定列挙の考え方に立つものが多くあります。

【寿建築研究所事件・東京高判昭53.6.20労判30950頁】

【中央タクシー事件・徳島地決平9.6.6労判72777頁】

 

例示列挙の立場をとる裁判例もありますが、労務リスク対策の点からは、限定列挙と解されることが多いことを念頭においた対応が求められます。

 

次に、解雇が酷ではないか、つまり、社会通念上の相当性というやつになります。古い例になりますが、社会通念上の相当性を判断のベールとなる考え方を示したものとして役に立ちますので示しておきたいと思います。

【高知放送事件・最二小判昭52.1.31労判26817頁】

 

【西部バス事件・東京高判平6.6.17労判65425頁】

 

さらに、解雇問題で非常に多いパターンは、社員の能力・勤務成績、社員の不適切な行為、傷病を理由とする場合です。

【セガ・エンタープライズ事件東京地決平11.10.15労判77034頁】

【学校法人敬愛学園事件・最一小判平6.9.8労判65712頁】

【日本オリーブ(解雇仮処分)事件・名古屋地決平15.2.5労判84843頁】

【ヒロセ電機事件・東京地判平14.10.22労判83815頁】

【全日本空輸(退職強要)事件・大阪高判平13.3.14労判80961頁】

 

3 解雇問題の本質と労務対策

 当事務所がこれまで見てきまして、解雇問題の本質は、企業側の解雇と言い得る言動にあります。つまり、最終的に従業員が辞めざるを得ない状況になり辞めていくパターンにせよ、企業が解雇通告するパターンにせよ、雇用契約の解約までのプロセスに本質があると考えられることが多いのです。

 

たとえば、

・従業員が辞めると意思表示を何も言っていないのに、「退職届を出してくれ」と言っている。

・解雇の明確な理由を伝えていないまたは伝えられていない。

・解雇の代わりに、配転命令を出している、賃金を下げている。

・パートになるか辞めるか、お金を払うか辞めるか、配転命令に応じるか辞めるか、残業代無しで働くか辞めるかなどのどちらを選んでも従業員に不利益になる2者択一式の追い込み型になっている。

などは、実務でよくみかける典型です。

 

また、解雇理由を伝えていても、内容が、就業規則の解雇規定をワープロ打ちし、それを理由にしているパターンも多くみかけます。こうした行為も、足元をすくわれることになりやすくなります。

 

対策としましては、解雇理由がどのようなものかを就業規則と十分に照らして検討し、解雇理由に当たると判断できるまでのステップを踏み(指導・注意など改善の機会をあたえるなど)、いよいよ解雇せざるを得ないとなった場合には、具体的な解雇理由を書面にして通知する。

 

これぐらいのステップが必要なのではないかと考えます。解雇は、最後の手段と言われるほど一刀両断式な労務行為であることが、慎重になることを求められていることに結びついていると考えます。使用者には、雇用継続の努力(解雇回避の努力)をする責務がありますので相応に厳格になります。解雇問題では、ここが急所になるケーズが多くあります。

 

なお、補足ですが、注意・指導・教育ですが、近年の状況をみておりますと、注意・指導というよりは、ミスの指摘やミスを咎めている行為になっていることが多く、企業側に有利に働かない要素になっていることがあります。

 

むしろ、ミスの指摘やミスを咎めている行為が、パワハラと声をあげられる羽目になっているパターンが多くあります。もちろん、従業員の能力などの向上を目的としたミスの改善のためのものもありますので(業務上の愛情ある叱咤など)、具体的な内容を検討することが必要です。

 

また、言葉を交わす指導・注意ではなく、指導書なる書面を乱発することで、さんざん指導したが改善されなかったというパターンも増加しています。言葉で注意も指導もなく、紙に書いて机上に置くだけでは、なかなか伝わっていない状況になっていることも多いように思います。

 

個々のケースで企業側は、「指導した」との主張になるわけですが、実態は、指導になっていないケースが散見されます。労働者からの強い主張要素になり得ることから、リスクとして対応しておく必要があります。やっかいなことに、こうした対応は、普段から意識しなkれば付け焼刃的には対応できないのです。

 

以上の詳細は、実務であらためてお話をさせていただきたいと思います。

 

4 退職勧奨の基本

退職勧奨は、退職勧告と言ったりもしますが、退職を勧める行為を言います。退職を勧める行為は、使用者側(企業側)が行うものです。従業員から、「退職勧告を受けた」などの言葉になって問題化します。多くの場合は、従業員にとって、解雇と退職勧奨の区分けがなされるとは言えないため、単刀直入に解雇の表現となって問題が顕在化します。

 

そもそも、使用者が行う退職勧奨の行為に法的な規制はなく、退職勧奨行為自体が直ちに違法になるわけではありません。また、使用者からの退職勧奨に従業員が応じるか否かも従業員の自由です。自由ということは、使用者から強制はできません。

 

退職を勧める行為は、法的にどういうことなのかについては、押さえておいたほうがいいかと思います。行為の態様に応じた検討を要するものもあり、単純ではありませんが、ざっくりとした枠組みでは、退職の促し行為は、「使用者からの退職の申込の意思表示」にあたり、これに対する従業員の受け入れる行為が、「従業員の承諾の意思表示」にあたるとされています。

 

5 退職勧奨の問題とリスク

退職勧奨は、意思表示の世界の話が中心であるため、事実確認の段階では、労使双方から、いついかなる言動がなされたかが重要になるところです。

 

また、使用者から「このままだと継続した勤務も困難になりかねない」のような趣旨の発言をし、従業員から「もう、退職したいのですが」と申し込みの意思表示があり、使用者が辞めることの確認を行い、「わかりました」と承諾の意思表示をするケースもあります。

 

申込と承諾の関係は、法律上の行為となっていることを示しますので、事実の詳細な検討がキーになります。退職勧奨行為にあたるか否かも含めて検討が必要になります。なんと言ったかなどは非常に重要になります。

 

従業員から提起される問題は、上記のような法的解釈とは無関係です。退職を勧められたと受け止められると、「退職を強要された」、「解雇された」などの表現となって浮上します。非常にめんどうです。近年は、会社として明確に退職を勧めてはいない段階だとしても、

退職強要、パワハラなどの言葉が飛び交うこと事案が増えています。

 

「そんなの、騒がれたら対応して、退職勧奨はやってないと主張すりゃいいんだろう」と考えていると、事はそう簡単ではなくなります。いつなんと言ったかなど行為態様は、追及されることに変わりはありません。

 

近年は、労働者の態度を垣間見ますと、あらゆるシーンを録音しています。録音行為に及ぶのは、何らかの不信感を持っているため、いざとなったとき役立つように記録に残そうととの観念からだと考えられます。

 

めんどうなのは、使用者サイドには、詳細な記録がないことがほとんどなのに、従業員のほうに詳細な記録が残っているケースが増えていることです。記録は、あらためて記録のページで触れておりますが、録音に留まりません。

 

人としての感情も絡んでくるだけに面倒になるところです。

 

従業員からの主張となる問題は、会社から退職を促している行為、いわゆる「肩たたき」行為なのに、それに応じて退職しただけのはずが、「一身上の都合」の退職で処理されることです。会社としては大きなボタンの掛け違いになります。労使双方の意思が存在する段階で、そもそも労働者の一方的な退職の意思表示である辞職ではありません。退職勧奨による従業員の退職は、合意による雇用契約解約の領域になると考えられます。

 

6 違法性のある退職勧奨

退職勧奨は、確立された最高裁の判例法理で、行き過ぎの退職勧奨行為が違法とされるとされます。

 

行き過ぎとは、退職勧奨の期間の長さ、回数などが必要な範囲を超えてなされているといった場合です。たとえば、

【下関商業高校事件・最一小判昭55.7.10労判34520頁】

【東京女子醫科大学(退職強要)事件・東京地判平15.7.15労判86557頁】

【群馬町(辞職強要)事件・前橋地判平16.11.26労判88784頁】

 

また、退職勧奨に応じないことによる不利益取扱いも問題となります。

【フジシール事件・大阪地判平12.8.28労判79313頁】

【鳥屋町職員事件・金沢地判平13.1.15労判80582頁】

 

 

 

です。

 

これに加えて、近年は、従業員の自己決定権を侵害するような退職勧奨行為や不当な目的を持った退職勧奨行為が違法性になり得るとの判断枠組みが用いられる傾向にあります。以下、裁判例です。

 

IBM事件

 

最近の例でも

日本リージャス事件/東京地判平300522 LEXDB25561097

 

 

これらを踏まえますと、解雇は言えないからと雇用関係から排除する意図を持って、退職勧奨をした場合、退職届を提出させようとの意図をもって退職勧奨をする場合などは、グレーではありますが、労務リスクが生じると考えていいかと思います。

 

このあたりが、分岐点になりそうと言えます。

 

このように考えますと、現時点では、退職勧奨行為に理由は求められていないものの、退職勧奨を受けた従業員のほとんどが、「なんで」「どうして」となります。その点では、労務管理上、なぜ退職勧奨行為をしたのか、その理由が明確化できたほうがいいと言えます。

 

企業としましては、トラブルになり余計な時間を割かれるので、明確には伝えたくないとしてお茶を濁したくなりがちです。当事務所の関係先企業でも、その姿勢はよくみられるところです。しかし、退職勧奨自体が自由ですから、直ちに違法な行為になるわけではありませんので、恣意的要素がないのであれば、きちんと伝えるべきと考えます。

 

「雇用の維持」が労務の前提思考としてありますので、退職を促すにあたっても、当然ながら、何か理由があると思われてしまうと考えておくべきでしょう。

 

解雇や退職勧奨の行為態様の問題は、使用者の行為ですので、当事務所では、就業規則の規定でカバーできるものではないと考えています。解雇の段取り、退職勧奨の段取りなど、できる限り労務リスクにならないような行為態様となりますと非常に難しいですが、実態によります。ぜひ個別にご相談いただければと思います。

 

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